時の祭神
2006年 12月 31日
飛び魚に促され、トーマス卿が不思議な鳥の足元へ
そっと珠を捧げ置きます。
朝とも夕とも、区別のつかない次元回廊の様々な色彩は、
ここにきてその色艶を増し、耀きに深みを、彩りに明度をあげて、
祭事の行方を見守って居るようです。
光耀く祭神は、トーマス卿を労うかのように典雅に微笑みかけ。
『越し方、行く末。流れる時を滞りなく。幾久しい安寧に。
織り成す季節の、奏でる音色の、世々限りなき繁栄を願わん。』
凛とした声で、祈りの祝辞を寿ぐと同時に。
コツンと嘴で軽く叩けば、珠はするりと解けて溶けて。
後には一羽の小鳥の姿が。
拙いながらも確りとした足取りで、新たな祭神はトーマス卿に深々と礼を送るとゆっくりと1つ深呼吸して優雅に舞って行くのでした。
後には、役目を終えた祭神の居た所に仄かに耀くあの不思議な珠が。
『これで無事、年越しが終ったよ。』
その珠を恭しく押頂き、飛び魚が厳かに呟くと。
トーマス卿の姿は、何時のも塔の上。野原も新たな年を迎えて居たのです。
なんとも不思議な年越しに、思わず微笑んでしまうトーマス卿でした。
by yoiyaminohara
| 2006-12-31 23:59
| トーマス卿/研究日誌