こんにちは、睡蓮と申します♪不定期更新型の創作web絵本ブログです。 ネコのトーマス卿と一緒に不思議の国を旅してみませんか?    アフィリエイトの紹介などは削除させて頂いております。


by yoiyaminohara
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

カテゴリ:神殿とネコと魔物の物語( 9 )

神殿とネコと魔物の物語

神殿とネコと魔物の物語
 月光神殿
 悪戯仔猫
 魔物の思惑
 頭上に迫る翳
 贖い/沈みゆく澱
 冥き水底
 崩壊/解き放たれし光
 神話/再誕 
[PR]
by yoiyaminohara | 2005-12-14 17:50 | 神殿とネコと魔物の物語

神話/再誕

a0069034_1283268.jpg

 燐光はその輝きを増し、眩く辺りを包み込みます。
夜族の大人たちが遺跡に辿りついた頃、沈み、壊れた神殿は、崩壊の調べを奏でつつ、その身に宿った祈りの力を解き放ったのです。

 最後の塔が海面に沈み、小波もそよと消えた時。
 鏡の様に小波1つ立たなくなった海面は、それでも呆とした光を放ち続け。
眠り行くねこの目月の13夜の下、静かに静かに森を海へと変えてゆきます。

 いまだ心定まらぬ、大人たちの見守るさなか。白き翼に導かれ、仔猫がぽっかり顔を出しました。

 いまわの際に捧げられし、切なる願い。仔猫は魔物を、魔物は仔猫を。それぞれがお互いを思いやり。
神無き玉座の神殿は、午睡ろみに守られしその歳月をから解き放たれ。崩壊の力をもって、2人の祈りに応えたのです。 

 こうして魔物は海底遺跡の守護となり、仔猫は全ての海猫族の始まりとなり。
魔物はガーゴイル伯の名を贈られて、産まれたばかりの海猫族の、新たな導き手となりました。

 こうして2つの種族は新しい物語を紡いでいくのですが、ソレはまた別のお話なんですよ。
[PR]
by yoiyaminohara | 2005-12-11 01:29 | 神殿とネコと魔物の物語

崩壊/解き放たれし光

a0069034_922424.jpg

 淡い、淡い燐光が。海中に沈み行く遺跡を包みます。
さながらソレは、永き眠りに午睡んだ。崇める者なき玉座の神の、吐息にも似た耀きでした。

 小さな足跡が、森の奥へと続きます。何度も何度も通ったのが容易に見て取れるほど、道無き道を迷いも無く切り開く仔猫の足跡。

 息せき切って、大人たちが遺跡に辿り着いたころには、瓦礫の山が、ぽっかりと口を開けた塩辛い水に浸かっているばかり。
どんなにどんなに探しても仔猫の姿は見当たりません。

 見る間に沈み行く神殿を、大人たちは呆然としながら眺めるばかり。無常とも思えるほどの、冴え冴えとした光が辺りを照らし。
昏く深い遺跡の森を、哀色染め上げました。


 神話/再誕へ進む
[PR]
by yoiyaminohara | 2005-12-10 09:28 | 神殿とネコと魔物の物語

冥き水底

a0069034_0203050.jpg
不意に視界を塞ぐ黒い翼。落ちてくる遺跡の石畳。
何をおもう暇も無く、足元にぽっかりと開いた虚ろに飲み込まれ。

 ざぶんと塩辛い冷たい水に、堕ちて…堕ちて…。

『立ち去れ。ココはそなたの来るべき所にあらず。』
『森へ入っちゃいけないよ?』
大人達の忠告と、始めに聞いた警告の言葉。危険を軽視した報いが今、仔猫に襲い掛かったのです。

<神様、神様…>
 肺から息が搾り出され、苦しい苦しい息の下。仔猫は自分の軽率さを悟ります。
そうして、魔物が常に目を光らせて。自分に危険のないように心砕いていた事も。

 瓦礫から仔猫を守ろうとして、精一杯に広げられた黒い翼。
<どうか神様…優しい優しいあの人を…どうか守って…>

 最後の息が漏れ零れ、仔猫の身体は冥い冥い水底へと漂い堕ちていく所。
翳りをおびた、淡い光が仔猫の身体を包む頃。意識を無くした仔猫の身体は、
緩やかに螺旋を描きながら底へ底へと沈んで行くのでした。

 崩壊/解き放たれし光へ進む
[PR]
by yoiyaminohara | 2005-12-07 22:41 | 神殿とネコと魔物の物語

贖い/沈みゆく澱

a0069034_18451086.jpg

 静かに、しかし着実に。神殿遺跡は沈んで行きます。
抱えた重さに耐えかねた大木が、もろともに海に沈みます。

 時間が意味を成さないほどの昔から、遺跡と共にすごした魔物。その崩壊の兆候にすぐに気がつきました。
危機を察したその瞬間。魔物は仔猫を探します。

 好奇心溢れる仔猫。自らが厳しく戒めなかったために、毎日のように神殿に通いつめ。

 そうです。魔物は寂しかったのです。自分でもそうとは気がつかないほど。
なんのてらいも無く、自分を探す眼差しに、どれほどの孤独が癒されたことか。

 なんとしても、仔猫は無事に帰さなければなりませぬ。
吾身の孤独に着き合わせ、ここまで危険を軽視させたは己が罪と罰。

 瓦礫をその身で支えようと広げた羽をすり抜けて、仔猫は海に沈み行き…。

 落ちてくる石畳の天蓋に押しつぶされて、魔物が最後に聞いたのは。
仔猫が底へと堕ちて行く、不気味な水音。虚ろに響く、神のおわせぬ神殿の出す、静寂の音。声無き声。

<神よ、神殿の主よ。我が罪は吾身に。かの者に慈悲を…。>
薄れ行く意識の狭間で、とうの昔に忘れ去られた神殿の主に向かい、魔物は祈りを囁くのでした。


 冥き水底へ進む
[PR]
by yoiyaminohara | 2005-12-05 18:46 | 神殿とネコと魔物の物語

頭上に迫る翳

a0069034_1572314.jpg

 お小言を貰ったその後も。大人達の隙を見て、仔猫は遺跡に通います。
壊れた壁の穴を抜け、崩れそうな石畳を軽快なフットワークでやり過ごし。

 翼の主を探しもしますが、何時も姿は見えません。仔猫はツイツイ夢中になって奥へ奥へと進みます。
ふと気がつけば、初めての時と同じように。いつの間にか村の近くに戻されているのです。

 追い返される大抵は、仔猫が遊ぶには過ぎた時刻になる間際。何時しか仔猫は神殿の危険性を忘れてしまいました。

<だって、魔物さん、怖いことなんてないもの♪>
 緩んだ石畳や、崩れる壁は、それこそ仔猫の冒険心をくすぐり倒し。挑戦すべき障害として、仔猫の目には映ります。
すっかり安心しきった仔猫は、神殿の不気味な軋みに気がつかず…。今日も夢中で瓦礫の山に挑んでおりました。

 遠くで雨音のような音がします。緩やかに、密やかに。微かな振動を伴って、遺跡全体が鳴動し始めました。
探検に夢中になっている仔猫は、迫り来る危険に気がついておりません。

 頭上より迫る翳…。

 仔猫が最後に見たものは、視界を覆う大きな黒い翼でした・・・。


 贖い/沈みゆく澱へ進む
[PR]
by yoiyaminohara | 2005-12-04 01:59 | 神殿とネコと魔物の物語

魔物の思惑

a0069034_20175986.jpg

「誰だ?」
不意に頭の上から不気味な声が響きます。
 仔猫が上を見上げると、逆光に遮られながらも鉤爪をもつ黒い翼がかいま見えました。

「立ち去れ。ココはそなたの来るべき所にあらず。」
重々しい声が、神殿遺跡に響きました。

 驚いた仔猫が口もきけずに居ると、鉤爪の主はさっと翼をはためかせ…。

 次に仔猫が気がついた時には、夜族の村のすぐ近く、森との境でぐっすり眠っていたのです。
心配した大人が探しに来ておりました。

「なんだね?こんな所で寝てて。ほらほらご飯の時間だよ?
さぁさぁ、お家に帰った帰った。」
 お隣のおじいさんに急かされて、仔猫は家路に急ぎます。変える途中にお小言も。
「森へ入っちゃいけないよ?神殿には怖~い魔物が住んで居るんだからね?」

 仔猫が普段遊ぶには遠い所で見つけたので、おじいさんは心配したのです。
まさか本当に神殿遺跡に行っていたとは、露ほどにも思ってはおりませんでしたが。

<怖~い魔物???>
 垣間見た鉤爪と、自分の身に起きたこと。突き詰めて考えては見たものの、何も怖くはありません。
だって何の怪我も無く、元気にココに居るのですから。

 魔物の思惑とは別に、仔猫はすっかり神殿遺跡が気に入ってしまったようです。



 頭上に迫る翳へ進む 
[PR]
by yoiyaminohara | 2005-12-02 20:19 | 神殿とネコと魔物の物語

悪戯仔猫

a0069034_20471748.jpg

 神殿の近くには夜族のネコ達が住んでます。森との境の印を決めて、
仔猫たちには入っていけないと口をすっぱくして言い聞かせますが、ソコはソレなんと言ってもヤンチャ盛りの仔猫たちです。大人の目をすり抜けてこっそり森へ行ったり来たり。

 それでも、やはり仔猫達のこと。神殿までたどり着くほどの奥には、誰も入って行きはしないのですが。

ある日1人のイタズラな仔猫が神殿遺跡に迷い込んでしまいます。
 仔猫はココが長老達に禁じられた遺跡とすぐ知りますが、好奇心には勝てません。

 考えても見て下さいな?大きな木の虚に囲われて、昼なお暗くひっそりとした。
だぁれも居ない遺跡なんですよ?大声を出して騒いでも、埃まみれで探検しても、お小言を言う大人は誰も居ないんです。

 気になる窪みや瓦礫の山や。昔々の神様の像など、仔猫は初めて見るものばかり…。
時間も忘れて、あっちこっちと探検三昧。奥へ奥へと進んで行きます。



  魔物の思惑へ進む
[PR]
by yoiyaminohara | 2005-12-01 20:50 | 神殿とネコと魔物の物語

月光神殿

a0069034_23354144.jpg


 昔、昔のその昔。どれくらい昔の話なのかと言うと、
今の海底神殿がマダマダ地上にあった頃のお話です。
  うっそうと茂る森の中、打ち捨てられた神殿は、静かに静かに森へと還っていく途中。

 大きな大きな木の虚に、抱え込まれるようにして残った神殿遺跡。
そこに1匹の魔物が住んでおりました。
 誰もこない遺跡は、魔物がこっそりと潜むのにちょうど良かったのです。

 昼は遺跡の奥へと姿をくらまし、夜毎月光を浴びながら。
誰に悪さをするでもなく、のんきに暮らしておりました。



 悪戯仔猫へ進む
 


 
[PR]
by yoiyaminohara | 2005-11-28 23:37 | 神殿とネコと魔物の物語