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こんにちは、睡蓮と申します♪不定期更新型の創作web絵本ブログです。 ネコのトーマス卿と一緒に不思議の国を旅してみませんか?    アフィリエイトの紹介などは削除させて頂いております。


by yoiyaminohara
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波紋の誘惑

波紋の誘惑_a0069034_21563538.jpg


 シトシトと優しい雨が野原を包みます。
たっぷりと水気を含んだ原っぱの土は、ともすればズルリと滑って転びそう。

 辺りを包む柔らかな霧雨に誘われて、トーマス卿の夜のお散歩。
甘い雨の匂いに包まれた野原は、常とは違った景色を覗かせてくれるのです。

 春先の柔らかな若草も、梅雨時の僅かな晴れ間を捕まえようと背を伸ばして背比べ。
露草、アジサイ、花菖蒲…。
 雨雲の空の下、静寂を内に秘めながら咲く花々の艶やかさを愛でにそぞろ歩きをするのです。

 おやおや?
そんな水辺の近くで転んだら、ころころりんと小川に落ちてしまいますよ?
# by yoiyaminohara | 2006-06-24 21:56 | トーマス卿/研究日誌

タンポポ珈琲店

 トーマス卿シリーズ③
タンポポ珈琲店
 野に咲く太陽の花
 お日様の栄養学
 憂鬱は湯気に溶けゆく
# by yoiyaminohara | 2006-06-24 21:55 | トーマス卿/研究日誌

憂鬱は湯気に溶けゆく

憂鬱は湯気に溶けゆく_a0069034_1933324.jpg

 お日様の滋養をたっぷりと浴びたタンポポの根。
カリカリに乾いたソレを、弱火で炒って。
 ゆっくりと挽いて粉にすれば、ソレは硬く強張った心をほぐす特効薬。

 春の宵に誘われて、心は浮き立ち、気もそぞろ。
ふと振り向いたそのときに、すり抜けてゆく花の馨の風。
 揺れ惑う心には、憂鬱が密やかにしのびより…。
 
 今宵もトーマス卿の塔の扉を、メランコリーに捕まった寂しがりやの住民が訪ねます。

 言葉少なに招きいれ、時間をかけて儀式めいて珈琲を淹れれば。
湯気の向こうの友人の顔に、憂鬱もほぐれてゆくのです。
# by yoiyaminohara | 2006-05-29 19:39 | トーマス卿/研究日誌

お日様の栄養学

お日様の栄養学_a0069034_18471573.jpg


 花や葉からお日様の力を受けたタンポポの根を、じっくりゆっくり乾燥させます。
ここでも力を借りるのはお日様の耀き。
 朝一番の新鮮な光を受けようと、今日もトーマス卿は塔の上。

 春に嵐はつきものなので、ここからは気が抜けません。
天日でじっくり水気を抜いて、大地の恵みを凝縮させて。

 後は天気とにらめっこ。
折角の自然の贈り物ですもの、欠片も逃したくはありませんよね?
# by yoiyaminohara | 2006-05-23 18:48 | トーマス卿/研究日誌

野に咲く太陽の花

野に咲く太陽の花_a0069034_23513913.jpg


 オレンジ色のアークトゥルス、白いスピカが耀く頃。
 春一番の風が吹いて、一雨ごとに森や野原が芽吹いてきます。
宵闇野原にも、眼にも艶やかな野の花が、所狭しと春の饗宴の真っ最中。
 水気をたっぷりと含んだ瑞々しい若草は、踏みしめる足をやんわりと押し返してくるのです。

 この時期のトーマス卿はいつも寝不足。
ナゼって?穏やかな春の日差しを燦燦とあびたタンポポが、
辺り一面に咲き誇るから。

 『野に咲く小さな太陽』と謳われるタンポポの根は、仄かな甘みが特徴の、
軽い飲み口の珈琲となるのです。
 お日様の恵みを一身に浴びて、大地の滋養を蓄えて。
そのタンポポの根を傷つけないよう、細心の注意を払い、
絶妙のタイミングで収穫すれば、ソレは憂鬱病(メランコリー)の特効薬。

 トーマス卿は訪ねてくる客人のため、せっせとタンポポの根を掘るのです。
# by yoiyaminohara | 2006-05-19 23:53 | トーマス卿/研究日誌