こんにちは、睡蓮と申します♪不定期更新型の創作web絵本ブログです。 ネコのトーマス卿と一緒に不思議の国を旅してみませんか?    アフィリエイトの紹介などは削除させて頂いております。


by yoiyaminohara
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 見事飛び魚を釣り上げたトーマス卿。おとりの煤蛍の元気も戻り一安心。
こころなしか煤蛍の若者が得意そうに見えるのは、気のせいなんかじゃないですよね。

 さっそく、くだんの飛び魚を、自宅に招いて真夜中のお茶会。
一役買った煤蛍には、新しい緑柱石が入った水晶のカンテラを用意します。

「一体、ドコから来たんだい?」
トーマス卿の質問に、飛び魚は謎めいたセリフを呟いて。
「ソコにあるのに無いんだよ?見えているのに見えないだけさ。」
ますますナゾは深まるばかり…。

 困惑顔のトーマス卿に、飛び魚がニヤリと笑って応えました。

 満月が鏡泉の真上に差し掛かると、泉に映る月との間に異界の門が開きます。そこを通って飛び魚は惑わせの国に来てるのでした。
 門が開くのは満月が天頂の真ん中、鏡泉のすぐ真上にあるときだけです。

 ただ一つの問題は、間違って泉に映る満月に飛び込んでしまい、
うっかり帰り損ねてしまうことが多々あるらしいのです。
 じつは釣り上げられたこの飛び魚も、先月帰り損ねたうちの1匹という事。

 帰りそこねた飛び魚は、次の満月までの長い夜を暗闇野原で過ごさねばなりません。
そうは言っても、大人になった飛び魚には、誰しも1度や2度は帰り損ねた経験があるんですよ。

 「月の光を反射して、我々は現し身を得るんだよ。
だから、昼間の光では、そこにあっても見えないのさ。
見えているのに、見えないんだよ。」

 両の翅を器用に使い、飛び魚はゆっくりとお茶を一口。
明日は満月。自分の国へ帰る日です。
「世話になったね。トーマス卿。どうしても帰る前に決着をつけたくてね。
今回は私の負けだが、また何時か勝負をしよう。」
 にっこりと微笑む飛び魚の笑顔に、トーマス卿も微笑んで。
白々と、夜が明ける頃。飛び魚の姿は朧に消えて行くのでした。

『ソコにあるのに無いんだよ?見えているのに見えないだけさ。』
 飛び魚のセリフを思い出し、窓に向かってゆっくりと一礼。
こうしてトーマス卿の研究は、無事終了となるのでした。
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# by yoiyaminohara | 2005-11-18 17:39 | トーマス卿/研究日誌

トーマス卿、真剣勝負

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 飛び魚は不思議な魚。猫目月から満月にかけて、
星の瞬く天蓋のドコからかともなくやってくるのです。
 ほの暗い夜の闇では、ドコまでが水でドコからがソラなのか。
解らなくなっているやも知れませんね。
 
 冥い冥い月光を頼りに、凛とした夜気の只中を自由自在に泳ぎまわり。
明けの明星の耀く頃、気がつけばどこかに帰ってしまうのです。

 そうして今宵は満ちてゆく猫目月の13曜日。満月はもう、すぐそこ。
鏡泉の上空には、きっときっと飛び魚が飛んでいることでしょう。

 はやる気持ちを抑えつつ、トーマス卿は夜釣りの準備。
煤蛍の若者を仕掛け針にくくりつけ、ぽぉんと夜空に放ちます。

 蛍苔と電気石を使っての疑似餌もあることにはありますが、
そんなくれ騙しの様なこと、誇り高きトーマス卿はお嫌いなのです。
 夜の天蓋、お月様の下。上の下への大騒ぎ。男と男の一騎打ち。
 それにもちろん、なんと言っても煤蛍の動きに敵うものなどありませんものね。

 2勝1敗1引き分け☆今宵の勝負は、一体どちらが勝つのでしょうか?

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# by yoiyaminohara | 2005-11-17 23:06 | トーマス卿/研究日誌
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 まずは、おとりの煤蛍をスカウトに。
あべこべ小道をすりぬけて、地に根ざしたヤドリギの群生地へと向かいます。

 え?どうしてヤドリギが大地に根を張るのかですって??

 ご説明いたしましょうお客様、こちらは宵闇野原の迷いの森。
常ならぬ不思議に溢れる、惑わせの国に御座います。
 ヤドリギが大地に根ざすのも、この国ではあたり前のこと。
なんら不思議はないのです。

 煤蛍を捕まえるには、水晶のカンテラを持ってゆかねばなりません。
緑柱石を誘いに使い、好奇心旺盛な煤蛍をおびき寄せます。
 何匹か誘い出されたところで、おもむろにトーマス卿が話しかけました。
「さぁさぁ、今宵は絶好のハンティング日和。私と共に飛び魚を捕まえにゆかないか?」
 そわそわと落ち着き無く飛び回る煤蛍でしたが、そのうちの1匹が意を決したようにトーマス卿に近寄って来ました。

 見れば青白く耀く煤蛍の若者で、成人への通過儀礼に1度勝負を挑みたいとのこと。
お互いの利害が一致したトーマス卿と煤蛍は、鏡泉に戻ります。
 途中には危険なあべこべ小道が待ち受けますが、もちろん、煤蛍は水晶のカンテラの中。
緑柱石を褥に優雅な暫しの休息を。月光を受けた緑柱石のエネルギーを蓄えているのです。

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# by yoiyaminohara | 2005-11-16 12:33 | トーマス卿/研究日誌
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<満ちてゆく猫目月の13曜日>

 鏡泉のすぐ傍に、ネコのトーマス卿は住んでいます。
後ろの足ですっくと立つ、凛とした誇り高き夜族の一員です。

 塔の高さは13ネートル。1ネートルは大人の猫の身長分です。
螺旋の階段を上った先が、トーマス卿の研究室。
屋上への扉を開ければ、何時でも鏡泉が望めます。

 満月の時には、そりゃもう鏡のようにピカピカと、夜通し明るく耀いて。
澄んだ泉の水底に、繊細な雪花が咲き乱れ、うっとりと吐息をつくくらい、美しいのです。

 そんな夜にはトーマス卿の研究もお休み。
煌々と照る月の下。草笛の調べに蟲の音のハーモニー。
友達を招いたトーマス卿は、ゆったりとダンスを楽しむのです。

え?トーマス卿は何を研究されてるのかって??
鏡泉といえば、飛び魚。とある条件が重なると、
不思議な不思議な飛び魚が、泉にやってくるのです。

 満ちてゆく猫目月と眠りゆく猫目月の狭間。
惑わせの国広しといえども、飛び魚が来るのはここ鏡泉だけ。
 煤蛍を捕まえて。いざ、今宵も狩りに出かけましょう。

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# by yoiyaminohara | 2005-11-15 21:12 | トーマス卿/研究日誌