神話/再誕
2005年 12月 11日
燐光はその輝きを増し、眩く辺りを包み込みます。
夜族の大人たちが遺跡に辿りついた頃、沈み、壊れた神殿は、崩壊の調べを奏でつつ、その身に宿った祈りの力を解き放ったのです。
最後の塔が海面に沈み、小波もそよと消えた時。
鏡の様に小波1つ立たなくなった海面は、それでも呆とした光を放ち続け。
眠り行くねこの目月の13夜の下、静かに静かに森を海へと変えてゆきます。
いまだ心定まらぬ、大人たちの見守るさなか。白き翼に導かれ、仔猫がぽっかり顔を出しました。
いまわの際に捧げられし、切なる願い。仔猫は魔物を、魔物は仔猫を。それぞれがお互いを思いやり。
神無き玉座の神殿は、午睡ろみに守られしその歳月をから解き放たれ。崩壊の力をもって、2人の祈りに応えたのです。
こうして魔物は海底遺跡の守護となり、仔猫は全ての海猫族の始まりとなり。
魔物はガーゴイル伯の名を贈られて、産まれたばかりの海猫族の、新たな導き手となりました。
こうして2つの種族は新しい物語を紡いでいくのですが、ソレはまた別のお話なんですよ。
by yoiyaminohara
| 2005-12-11 01:29
| 神殿とネコと魔物の物語