姫君の災難
2005年 12月 16日
断崖の絶壁に孤城が建っております。海に張り出した塔の中、
今日も不機嫌な顔の姫君が閉じ込められておりました。
どうしてご機嫌ナナメなのですって?
お散歩の途中で魔人に見初められ、有無を言わさず攫われて。
今は格子の嵌った塔の中、日永一日、窓の外を眺めるばかり。
姫君の繊細な蝙蝠の翅では、ずっしりと水気を含んだお魚の尾びれは支えられませぬ。
冬薔薇を抱えて、魔人がご機嫌伺いに。甘いお菓子に大粒の真珠、
何を捧げにやって来ても姫君のご機嫌は治りません。
こうして今日も姫君は、不機嫌な顔で窓の外を眺めるばかり。
囁く声。甘い言の葉。へ進む
by yoiyaminohara
| 2005-12-16 22:37
| 魔人と塔の姫君